
◆スバルらしさが光るHEV
25年4月に登場した、通算6代目に当たる新型フォレスター。もともと人気のあるSUVモデルではありましたが、新型の販売は絶好調で推移しているようです。多くのスバル車が2~3ヶ月の納期であるのに対し、26年3月現在ではフォレスターだけが納期未定となるほど多くの受注を抱えている状況。グローバルモデルということもあり、国内外問わず人気を博しているようです。

人気の理由は、やはりストロングハイブリッド(HEV)をラインナップしたことが大きいようです。1.8Lの直噴ターボエンジンもチョイスできるなかで、販売比率ではHEVが7~8割を占めているほどの人気ぶり。燃費のいいスバルのSUVが登場するのを、多くの人が待っていたのかもしれません。

これまでは、スバルにはマイルドハイブリッドしかありませんでしたが、24年12月「クロストレック」に初のHEVを追加。フォレスターにも同じシステムが搭載されました。

このシステムは、業務資本提携を結ぶトヨタから提供されたハイブリッドシステム「THS」を利用したもの。縦置きのボクサーエンジンと組み合わせ、スバルの強みである左右対称の全輪駆動システム「シンメトリカルAWD」を実現している、いかにもスバルらしいHEVへと仕上がっています。

先代の5代目と比較して、ラギッド感がマシマシになったエクステリアデザインも特徴といえるでしょう。アウトドア志向のスタイリングは、最近のSUV市場でも人気のあるデザイン。好みは分かれますが、このタフさを前面に出したテイストはほかのスバル車にはない大きな魅力です。今回の試乗車は、ラギッド感が強めのグレード「Xブレイク」のHEV。グリーンのアクセントがクールな、人気のアウトドアグレードです。

◆インナーフレームがもたらす極上の乗り味
さて、この6代目フォレスターに早速乗り込み走り出すと、まず最初に感じたのはボディのガッチリ感でした。5代目でもフォレスターの走りは非常にバランスが取れていて好印象でしたが、6代目ではその乗り心地がさらに大きく進化しています。剛性感の非常に高い堅牢なボディに対して、サスペンションがしなやかに動いている感覚です。

スバルはSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)という次世代型のプラットフォームを多くの車種に展開していますが、現行型2代目「レヴォーグ」から「フルインナーフレーム構造」という最新の技術が投入されています。フォレスターにも、この6代目からフルインナーフレームが採用されましたが、ここが5代目と大きく変わっているのです。

ボディのモノコック全体の骨格部分を先に組み立ててから、外板を溶接していく工程をとるインナーフレーム構造は、ボディ剛性を高める点で非常に有効です。2代目レヴォーグ以降のスバル車全体にもいえることですが、サスペンションの動きを最大限に生かすため、強固なボディはミシリともしないガッチリ感をキープします。

この6代目フォレスターもインナーフレームの恩恵を受けていることは、乗ってすぐにわかるほどでした。まるで、ミドルクラスよりもさらに上の上級SUVのような、上質な乗り心地とフラットライド感を実現しています。電子制御の可変ダンパーなどを使用せずに、この乗り心地を提供できることに驚きました。

乗り心地は、どちらかといえばソフトな部類に入ります。路面の凹凸をうまくいなしながら走るのは、低速域でも高速域でも変わりません。一般道から高速道路まで、まんべんなく快適な乗り味を提供してくれるでしょう。

しっとりとして落ち着いた乗り心地は、少々重ための車重(1740kg)も影響しているでしょう。車重に合わせたサスペンションセッティングに、一切の妥協を許さなかった開発陣のこだわりが感じられます。全体的に動きが穏やかで、ヒョコヒョコ揺れない乗り心地が好印象でした。

◆運転のしやすさはフォレスターの強み
乗り心地のよさも寄与しますが、運転のしやすさという点でもフォレスターはライバル勢から一歩リードしています。

まずは、乗り込んだ瞬間にわかる視界のよさは、誰もが感じられるメリットでしょう。スバルが掲げる「0次安全」がしっかりと具現化された視界の良さは、すべての安全につながります。シートポジションを一番低い位置にまで下げても、ボンネットフードがしっかりと見える安心感。そして、グラスエリアの広さは、特に左折時の左後方確認がしやすく、巻き込み事故の防止にもつながります。

操作系が限りなくニュートラルに近いセッティングだということも、運転のしやすさを向上させている要因でしょう。ステアリングは無駄な遊びもなく、いたって自然な操作感。HEVでありがちな回生ブレーキゆえの不自然なブレーキフィールもまったく感じられず、踏んだ分だけ減速するセッティングでした。

しっかりと操作をしてくれという、クルマ側からの明確なメッセージともとれるブレーキフィールは、非常に好感が持てるポイントです。HEVでこのブレーキタッチを実現しているところに、正直驚きました。運転のしやすさという点では、初心者の人にもオススメしやすいクルマに仕上がっているといえるでしょう。

◆もう燃費が悪いとは言わせない!
「スバル車の性能がいいってことはわかってるんだけどね。燃費が良くないでしょ?」。今までこんな言葉を何度も聞いてきましたが、もうこんなことは言わせないぞといわんばかりの燃費性能を実現したのが、スバルの新しいHEVです。

今回は神奈川県川崎市から、静岡県静岡市までの往復道中において燃費を実測しました。高速道路では東名高速道路を利用し、一般道の計測では市街地と郊外路の2パターンで走行しています。



まずは高速道路ですが、下り方向で147km、上り方向で84kmの合計230kmあまりの距離を、まわりの大型車に合わせた90km/hで走行。HEVが苦手とされている高速燃費、しかも今回はスタッドレスタイヤ装着という条件の悪さにも関わらず、平均19.0km/Lの好燃費を記録できました。カタログ上のWLTC高速道路モード燃費は19.6km/Lですので、ほぼカタログ値と遜色ない数値です。


一方、一般道の燃費は、郊外路64kmほどを走行し16.8km/L、市街地56kmでは18.2km/Lをマーク。今回の全行程399.4km走行後の平均燃費は、17.0km/Lという結果でした。カタログのWLTCモード燃費は18.8km/Lですので、こちらは遠く及びませんでした。しかし、2.5Lエンジンで1.7トン以上のSUVということを考慮すれば、17.0km/Lは世界的に見ても燃費のいい部類に入ります。十分な燃費性能だといえるでしょう。


高い燃費性能の向上には、メカニズム面の進化も当然ですが、エアロダイナミクスも大きく関与するものです。今回の試乗の際に最初に目がいったのは、フロントフェンダーのタイヤハウス後方に設けられた小さなダクトでした。

タイヤハウス内の乱れた空気の流れを、一気にボディ外へ吐き出す形状になっているのは一目瞭然。空気の抵抗は、燃費性能にとってはマイナスにしかなりません。このようなエアロダイナミクスも、しっかりと燃費性能に寄与しているのだとわかる点です。
◆信頼性の高い4WDシステムと期待できるリセール率
システムの提供先であるトヨタも含め、HEVの4WDは現状ほぼ電動四駆というなかで、ひと際異彩を放っているのがスバルのHEV。後輪をモーターで駆動するのではなく、しっかりとドライブシャフトを前後に通した従来からのシャフトドライブを継承し、電動車でもシンメトリカルAWDを実現している点は大きなアドバンテージとなります。

特に需要が高い積雪地などでは、信頼性が何より重要視されるもの。「レオーネ」のころから絶大なる支持を得ているスバルの走破性と信頼性は、このHEVのフォレスターでも変わりません。

6代目フォレスターは、スバルの伝統にもう一つ“低燃費”という魅力を付け加えた、新世代のクロスオーバーSUVといえる仕上がりで、大きな欠点は見当たらないほど完成されたプロダクトでした。スバルのラインナップで納車が一番遅れてしまっている現状ですが、ライバル勢よりもメリットを感じるようでしたら待つ価値は大いにあります。

というのも、スバル車というのは根強い人気があるクルマが多く、リセールが高めに推移することで中古車界隈では有名です。フォレスターも例には漏れず、中古車市場で人気の高いクルマですので、この6代目も価値が急に下落するとは考えにくいのです。特に現在人気の高いHEVモデルは、今後も高額で取引されることが予想されます。少々納車が遅くなっても、それだけ価値の高いクルマだと考えて問題ないでしょう。

燃費の向上と、乗り心地のよさ、そして操作性のよさなど多くの魅力をプラスし、どの世代のドライバーにもオススメできる優等生モデルへと進化した、スバル フォレスター。決定的だった弱点の燃費性能を克服した今、ウィッシュリストの筆頭に並べられることも多くなるでしょう。ミドルサイズSUVをお考えであれば、まず一考してもいい実力の持ち主です。ひとつアドバイスをするなら、リセールを考慮して、ADAS(先進運転支援システム)の「アイサイトX」は必ず付けておきましょう。
<文&写真=青山朋弘>
■スバル フォレスター Xブレイク S:HEV EX(4WD・CVT)

主要諸元
【寸法・重量】
全長:4655㎜
全幅:1830㎜
全高:1730㎜
ホイールベース:2670㎜
トレッド:前1565/後1570㎜
最低地上高:220㎜
車両重量:1740㎏
乗車定員:5人
【エンジン・モーター・性能】
エンジン型式:FB25
種類:水平対向4 DOHC
ボア×ストローク:94.0×90.0㎜
圧縮比:11.9
総排気量:2498cc
最高出力:118kW(160ps)/5600rpm
最大トルク:209Nm(21.3㎏m)/4000~4400rpm
使用燃料・タンク容量:レギュラー・63ℓ
モーター型式:MC2
種類:交流同期電動機
最高出力:88kW(119.6ps)
最大トルク:270Nm(27.5㎏m)
駆動用バッテリー種類:リチウムイオン
WLTCモード燃費:18.8㎞/ℓ
最小回転半径:5.4m
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤ:前後225/55R18
【価格】
447万7000円



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